Landeronの逆襲

1.序

海外で、安いクロノを購入すると、8割の確率でビーナス188かランデロンのムーブが利用されている。

国内では、アンティーク時計屋やクロノグラフ好きな人達の、ランデロンの評価は低い。

[低価格]--->[安物]--->[作りが悪い]

という図式ができている。

本当にランデロンは悪いクロノムーブメントなのか?

2.ランデロン社とは?

正式名称は[フォンテンメロン社ランデロン支社]ということで、ムーブメントメーカーである[フォンテンメロン社]のクロノムーブ専門支社であった。

フォンテンメロン社と同様にエボーシュ連合の傘下で、その枠内で活動した。

3.ランデロン社の役割

エボーシュ連合としては、連合内でのクロノグラフムーブメントの競争激化を鑑み、

廉価版のムーブメントは、ビーナス社とランデロン支社が

中価格以上のムーブはビーナスとバルジューで、

主に製造することにした

例外としては、ランデロンの高級ピラーホイール式のクロノや、バルジュー77や92のように、ピラーホイールを採用したが廉価なクロノも存在した。

例:バルジューの廉価版ムーブメント、Cal.77

1.ピラーホイール式

2.スイングピニオン式

3.針金型のバネを多用する

4.ランデロンの評価

実際、1970年代以前のスイス製のクロノグラフの80〜85%は、ビーナスとランデロンの廉価版ムーブメントを採用していた。

確かに、発売当時も廉価なクロノに搭載された為、手荒く使われ、OVHも満足にしてもらえなかった物は、状態の酷い物が多い。

しかし、中には当時の状態をそのまま留めている物も有り、これらは、Valjoux Cal.23やVenus Cal.175と勝るとも劣らずに、良い作動をする。

カム式のクロノではあるが、「スライディングギア」は採用され、30分計の送りツメも、バネ状ではない。

さしずめ「本格派」クロノグラフと言っても、過言ではない。

 

5.ランデロンの特徴

a.特殊なプッシュ操作(ランデロン新48が登場するまで)

[上ボタン]でスタート、[下ボタン]でストップ&リセットする。

b.クロノグラフランナーの受けの形

クロノグラフランナーの受け(カタツムリの頭状の物)が中太である。

c.ほとんどが、[カム式]クロノグラフ

ピラーホイール式のランデロンは稀少。

 

6.ランデロンが最も多く使われている機種

[CHRONOGRAPHE SUISSE]というモデルで、派生モデル名として[CHRONOGRAPHE GENEVE]等もある。

いずれにしても、文字盤に[CHRONOGRAPHE]と書かれたモデルは、ランデロンかビーナスの廉価版と思って良い。

なお、有名なギャレットのフライングオフィサーは、ランデロンの含有率は95%以上である。

[CHRONOGRAPHE SUISSE]

14金無垢

Landeron Cal.51(OLD TYPE)

7.典型的なランデロンのムーブメント

下に典型的なランデロンのムーブメントを紹介する。

どの機械も廉価版とは言え、精緻な輪列をし、チラネジも採用している。

クロノとしては[廉価]ではあったが、時計としては高価であったことがうかがえる。

注:スキャナーで画像を取り込んだため、一部の機械の[チラネジ]がブレているが、すべて[チラネジ]付きである。

ランデロン48(旧型)

作動原理:カム式

動力伝達方式:キャリングアーム式

スライディングギア採用

チラネジ有り

ランデロンのカム式の中で、もっとも古くからあるタイプ。

現在のクロノグラフと異なり、[上ボタン]でスタート、[下ボタン]でストップ&リセットする。

 

ランデロン51(旧型-前期)

作動原理:カム式

動力伝達方式:キャリングアーム式

スライディングギア採用

チラネジ有り

旧型ランデロンの最高位機種。

[上ボタン]でスタート、[下ボタン]でストップ&リセットする。

前期型は[トランスミッションホイールの受け]と[カム切り替えアーム]が一体成型であったが、後期型は2つの部品から成型されている。

コストダウンが主目的であろう。

 

ランデロン51(旧型-後期)

作動原理:カム式

動力伝達方式:キャリングアーム式

スライディングギア採用

チラネジ有り

[上ボタン]でスタート、[下ボタン]でストップ&リセットする。

前期型は[トランスミッションホイールの受け]と[カム切り替えアーム]が一体成型でであったが、後期型は2つの部品から成型されている。

コストダウンが主目的であろう。

ランデロン48(新型)

作動原理:カム式

動力伝達方式:キャリングアーム式

スライディングギア採用

チラネジ有り

同型機械で[ランデロン148]と基盤に刻印されていることもある。

[リセットハンマー]は、平板な形になった。これはプレス整形を容易にする為。

ランデロン48(旧型)を改造し、一般のクロノと同様の操作、[上ボタン]でスタート&ストップ、[下ボタン]でリセットにした。

これは[使いにくい]というユーザーの声を反映した結果であった。

 

 

ランデロン49(新型)

作動原理:カム式

動力伝達方式:キャリングアーム式

スライディングギア採用

チラネジ有り

同型機械で[ランデロン149]と基盤に刻印されている物もある。

ランデロン48(新型)の高級バージョン。

尚、ギャレットのフライングオフィサーは、ランデロン149を搭載したものが殆どである。

8.新旧ムーブメントの比較

時代が新しくなるにつれて、構造が簡略化され、コストダウンが図られてる。

新旧のムーブメントを比較してみる。特に[リセットハンマー]と[トランスミッションホイールの受け]の形の変化が顕著である。

旧型ランデロン48

新型ランデロン48

旧型ランデロン51前期型

旧型ランデロン51後期型

 

9.おまけ

ランデロンの高級機種を2つ紹介する。

ランデロン39(レストア中)

作動原理:ピラーホイール式

動力伝達方式:キャリングアーム式

スライディングギア採用

チラネジ有り

ピラーホイール・チラネジを採用し、機械は面取りされ、磨かれている。

ランデロンのムーブメントの最高機種である。

後に、ランデロン39を改造して、スプリットセコンドクロノグラフも作られた。

ランデロン48スプリットセコンド

作動原理:カム式

動力伝達方式:キャリングアーム式

スライディングギア採用

チラネジ有り

[上ボタン]でスタート、[下ボタン]でストップ&リセットする。

クロノグラフ作動中に、

リューズ中央のプッシュボタンを押すと、スプリットセコンド針と

通常の秒積算針が分離する。

スプリットセコンドは58秒間のみ測定可能。

 

時計はダービー&シャルデンブランの

インデックス・モビーレ。

9.終章

ランデロン。

この[でろん]という奇妙な語感のせいで、不当に低く評価されてるきらいがある。

確かにランデロンは当時としては、比較的廉価版であった。

しかし、今日ランデロンと同等のものを製造するのに、どれだけのコストが必要か計り知れない。

今こそランデロンを再考してみてはいかがだろうか?

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あなたは人目のランデロンファンです(爆).


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