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by匿名希望
インターはETAポンというつまらない批判がある。いちいち対応するのが面倒くさいのでここに書くことにした。まず言っておくが、IWCはムーブをアセンブリーでは買わない。JLCの場合ですら同様だった。IWCはすべてのムーブを部品で買って、組み立てている。よって、Calごとに地板やブリッジの形状が違うというのがミソだ。ETAお得意のバカ穴もない。ETAは部品にもバカ穴を開ける(!)のだが、IWCには全くない(JLCベースムーブ、とりわけ889系にはバカ穴が多数散見されたけど・・・)。ETAポンかそうでないかは、バカ穴の有無が重要なポイントだと思っている。
現在IWCのムーブベースは主にETA2892-A2と7750(7760)である。ETA2892-A2とIWCのつきあいは長く、1982年のPD2000までさかのぼる(Cal.375)。以来20年、ETA2892-A2ベースのムーブは次のように進化を遂げた。Cal.375→Cal.3752→Cal.37521→Cal.37524。コレを幹として多数の亜流が存在するが、面倒なので書かない。Cal.375XX系は基本的にすべて双方向の42時間巻き上げの28800ビートである。Cal.375とCal.37521のBund仕様はローターベアリングを石に置き換えた27石(=22石)仕様だが、ほかはすべて21石である(一応言っておくとCal.37590はBundに準じた22石仕様だ)。仕上げは色々あって何とも言えないが、375以外は赤金メッキである。むろんIWCの常で例外は多数ある。
個別に見てみよう。Cal.37521はローター周りに不具合があったため設計変更をした(年代は不明)。現行のCal.37524はCal.37521より香箱と輪列が再設計され、ローターには21金が使用されている。またニバロックスのメインスプリングは精度を出すためにオリジナルより長く弱く、輪列もより堅いモノになっている。恐らくCal.37524はETA2892ベースのムーブでは世界で最もマシではないか。よくコスト云々が取りざたされるが、これではコスト的にJLCムーブと変わらんよ。JLCは基本的に素組みだったからね。仕上げはさすがにIWC独自のモノだったけど。ついでに言っておくと、MarkXIIの884/2もプレ値で買うほどすごくはない。詳細は省略。
ETA2892は自称”時計通“には怖ろしく評判が良くないが、ETA輪列とローター周りにベアリングを使ってない点、そして例のエタクロンが引っかかるのだろう(確かにエタクロンは、理論的にはスピロフィクスに近く、しかもそれを最も簡素な形で実現している点理想的だが、あまりに簡素すぎて素人目にも不安に思えるのは事実)。ただ、この3つを理解して批判している人間は少ないように思う。大安堂のKさんを含めて、何となくそう言ってるだけではないか。一方のJLCは、美しい輪列、ローターにベアリングを多用している点、そしてスピロフィン・レギュレーター(≒トリオビス)の3点が過度に賞賛されているが、加工精度から言うとETAと変わらない。僕とすれば、JLC891は巻き上げ時間が短いのと、華奢な点が気になる。構造的には王道中の王道だが、それをETA2892より薄く収めてしまったアタリに無理があったと思う。それが耐衝撃性に難あり、という一因だろう。そもそも1967年デビューの機械だしね。とくにセンターセコンドの押さえバネは、どう考えてもこの仕組みの始祖たるIWCのCal.89や85系よりチャッチイ。
一方のクロノグラフ、Cal.7750系はCal.790→Cal.7901→Cal.7902→Cal.7912→Cal.7922と進化を遂げている。最新型のCal.7922は267万番台以降のムーブがそうである。Cal.7750系は2892ほど秀逸な設計でもないが、IWCはだましだまし使っている。余談になるが、7750に感心しないからといって、エル・プリメロにもあまり感心はしない。個別に見てみると、790系はクラシック・レギュレーターだったが、7912ではエタクロンに、7922ではさらに進化を遂げてトリオビスになっている。なおCal.375系同様、現行のCal.7922は香箱、輪列、メインスプリング、そしてテンプ(バランス)などが見直されている。IWCサービス部のレネ・シュワルツが絶賛している理由もわからなくはない(彼は自社の機械もこき下ろしまくる点、変な時計評論家よりはるかに信用できる)。またクロノの蠕動部を磨いている点、ローター受けなどのブリッジもオリジナルと異なる。Cal.375系同様、7750系もメチャクチャ亜流が多いが、ベースを当てるのはCal.375系ほど難しくない。例えば永久カレンダーモジュールを付加したCal.79261の場合だと、Cal.79「2」61ということで、Cal.7922がベースだと分かる。Cal.79「1」61だとCal.79「1」2がベースというわけだ。
気が向いたらまた何か書きます。とりあえずここまで。
事実に関する記載は、すべて信頼できるソースによるものですが、感想についてはあくまで個人的なモノです。その旨ご容赦くださいまし。
あなたは 人目の「現行IWCあなどりがたし」と認識を新たにした方です。 |